カルシウムは、強い骨や歯をつくるだけではなく、体の中で様々な働きをしています。スピルリナにもカルシウムが含まれていますが、不足しがちなカルシウムをカバーできるのでしょうか?ここでは、スピルリナに含まれるカルシウムについて詳しくみていきましょう。
牛乳・乳製品に多く含まれるイメージのカルシウムですが、実は野菜類や藻類・海藻類にも含まれているのです。藻類であるスピルリナにも100gあたり194mgのカルシウムが含まれています。(1)
100gあたり、スピルリナはモロヘイヤ、水菜に次いでカルシウム含有量が多いことがわかります。スピルリナに含まれるカルシウムが、特別多いということではありませんが、カルシウムを多く含む野菜と同レベルの食品であるといえそうです。
さらに、1日あたりの摂取目安量で換算してみましょう。スピルリナ3g、その他はすべて50g(おひたし1人前)で換算します。
カルシウムは食品により吸収率が大きく異なる特性があり、植物性食品の吸収率は18%ほどです。(2)スピルリナは植物性食品ではあるものの、サプリメントという形状であるため、素早い吸収速度と高い吸収率の特徴を重視し、一般的にいわれている95%の吸収率としています。(3)
この換算結果より、スピルリナのカルシウム含有量は、比較した野菜類に次ぐ量ということがわかりました。スピルリナは、食事のサポートとしての利用を想定していることから考えると、その高い吸収率からも、不足しがちなカルシウムを手軽に効率よく補給するサポートに役立つことが期待できそうです。
カルシウムは、体内に最も多く存在するミネラルで、そのほとんどが骨や歯に存在しています。骨は一定のペースで古い骨を新しい骨に作り替える「骨代謝」が繰り返されており、その骨代謝に最も深く関わっているのが、カルシウムです。また、カルシウムは塩分の主成分であるナトリウムを排出し、血圧上昇を抑える働きもしています。(2)
カルシウムの1日必要量は、成人男性女性ともに650mgです。(4)カルシウムは含まれる食品により、吸収率が異なるため、摂取の際には、より吸収率の高い食品を選ぶと効率の良いカルシウム摂取が期待できます。
100gあたりでは、干しエビのカルシウム含有量が突出していますが、干しエビは乾物であるため、実際に摂取する量は数gである場合がほとんどです。実際に摂取する量では、どれくらいの含有量となるかみてみましょう。
スピルリナ3g、牛乳200ml(コップ1杯)、ヨーグルト80g(カップ1個)、干しエビ4g(チャーハン一人前)、しらす30g(しらす丼1人前)として、吸収率を考慮した換算をしてみます。
この結果より、やはり牛乳のカルシウム含有量が最も多く、毎日手軽に摂取できる食品であることから、カルシウムの補給源として最も適していると考えられます。スピルリナについては、動物性食品には及ばないものの、これらの食品のサポートとしての利用により、カルシウム摂取に有効なのではないでしょうか。
カルシウムも他の栄養成分と同じく、積極的に摂りたいものですが、過剰摂取になってしまうと、尿管結石などのリスクも。また、鉄や亜鉛の吸収を阻害してしまう場合もあるため、注意が必要です。逆に、不足すると、骨粗しょう症や神経過敏をまねくといわれています。
カルシウムは、骨の健康に欠かせないもの。適度なタンパク質との摂取で相乗効果も期待できます。毎日の牛乳・乳製品の摂取はもちろん、これらと同じように、カルシウムとタンパク質を含むスピルリナは、カルシウム補給のサポートとしての効果が期待できそうです。
(1)DICライフテック株式会社「スピルリナとは」
(2)中村丁次「栄養の基本がわかる図解辞典」2005、成美堂出版