亜鉛はいわゆるミネラルの1つで、体の健康維持に欠かせない成分です。ここでは、スピルリナに含まれている亜鉛について詳しくみていきましょう。
亜鉛は、ミネラルのひとつで、味覚細胞の形成に関わっている成分です。舌には味を感じる味蕾という器官があります。その味蕾を形成する味覚細胞は、亜鉛不足などにより、うまく形成されなくなると、味覚異常を引き起こすとされています。
亜鉛は、魚介類を中心に肉類、藻類・海藻類、野菜類、豆類など、幅広い食品に含まれています。藻類であるスピルリナも亜鉛を含む食品の1つです。具体的にどれくらいの亜鉛が含まれているのでしょうか。スピルリナと、同じ分類である藻類・海藻類で比較してみましょう。
スピルリナの100gあたりの亜鉛含有量は1.8mg。(1)焼きのりについで高いことがわかります。さらに、1日あたりの摂取目安量に換算して比較してみましょう。スピルリナ3g、その他の食品は、焼きのり3g(1枚分)、あおのり0.3g(焼きそばにふりかける程度の量)、あおさ3g(お吸い物1杯分)、刻み昆布5g(煮物1人前)、ひじき5g(煮物1人前)を目安として換算します。
摂取目安量で比較してみると、刻み昆布、ひじきの亜鉛含有量は、焼きのりと同量であることがわかります。スピルリナは、これらの半分ほどの含有量です。亜鉛は、過剰摂取すると中毒を起こすことがありますが、どの食品も含有量は0.1㎎と微量であることから、これらの食品の摂取による亜鉛の過剰摂取は起こりにくいと考えられます。
亜鉛は、味覚細胞の形成以外にも、代謝や免疫反応など、様々な生理作用をもつ栄養成分です。不足すると、味覚異常や免疫力の低下、皮膚のトラブル、男性の場合にはED(勃起不全)のリスクも。亜鉛は、普通の食生活をしている範囲では不足の心配はないといわれていますが、加工食品などに含まれる食品添加物などにより、吸収が阻害されるため、注意が必要です。また、アルコールの多飲も亜鉛の排出を増加させるため、飲み過ぎにも気を付けましょう。(2)
亜鉛の1日あたりの必要量は、成人男性10mg、女性8mg、上限は男性45mg、女性35mgとされています。(3) これまで亜鉛不足の心配は少ないとされていましたが、昔に比べ、加工食品やファーストフードの摂取量が増加傾向にあるため、食品添加物の影響による亜鉛不足が指摘されています。
亜鉛は、貝類のカキに豊富に含まれており、100gあたりで必要量の1.5~1.8倍ほどの亜鉛が含まれていることがわかります。さらに、一日摂取目安量で換算してみましょう。スピルリナ3g、カキ100g(カキフライ1人前)、レバー70g(レバニラ炒め1人前)、高野豆腐40g(含め煮1人前)、そら豆50g(塩ゆで1人前)、タラバガニ200g(ゆで1人前)として換算します。
1日あたりの摂取目安量でも、100gあたりと同様に、カキの含有量が最も多いことがわかります。スピルリナについては、亜鉛含有量が微量であることから、これらの食品と合わせて摂取する場合にも、過剰症の心配はほとんどないといえるでしょう。
亜鉛は体にとって不可欠な栄養成分である一方、毒性をもっているため、過剰に摂りすぎると急性中毒の恐れがあります。そのため、不足気味かもしれないからといって、亜鉛の多い食品を多量に摂ることは控えましょう。あくまでも、栄養バランスの良い食事が基本です。
亜鉛は、不足しても過剰でも健康に影響する栄養成分です。極端に偏った食事を続けていなければ、大きな問題にはなりませんが、加工食品やファーストフードを利用する機会が多い場合には、食事内容を見直したほうがよいでしょう。必要に応じて、栄養バランスをサポートするスピルリナのような健康食品の摂取を検討するのもよいかもしれません。
(1)DICライフテック株式会社「スピルリナとは」