葉酸は、貧血予防や妊娠初期に発症リスクのある、胎児の神経障害予防に不可欠なビタミンです。そのため、女性は積極的に摂取したい栄養成分です。ここでは、スピルリナにも含まれている葉酸について詳しくみていきましょう。
葉酸は、ビタミンB群の1つで、緑黄色野菜などに多く含まれています。スピルリナにも葉酸は多く含まれており、その含有量は100gあたり110μg(マイクログラム)と、比較的多く含まれている食品です。(1)葉酸は、水に溶けやすい性質であるため、おひたしなど、ゆでる調理では95%ほどが溶け出てしまうといわれています。(2)
100gあたりでみると、スピルリナの葉酸含有量は、代表的な緑黄色野菜に一歩及ばない含有量ですが、葉酸は、水に溶けやすいという特性を考えると、実際に摂取する量は100gあたりの数値とは大きく異なってくると考えられます。(2)実際に、1日摂取目安量で比較してみましょう。スピルリナ3g、菜の花・ほうれん草50g(おひたし1人前)、ブロッコリー30g(温野菜1人前)、にら40g(レバニラ炒め1人前)を目安として換算します。
この結果をみると、ゆでる調理では葉酸の量が大幅に減少してしまうことがわかります。せっかく食べても葉酸がほとんど摂れていないということです。このような点をふまえると、調理による含有量変化の少ないスピルリナは、緑黄色野菜と並んで、葉酸補給のサポートとに適しているといえるでしょう。
葉酸は、「造血ビタミン」ともよばれ、鉄分とともに血液のもととなる成分で、不足すると貧血を引き起こします。また、胎児の正常な成長に深く関わる成分でもあり、妊娠前、妊娠中(特に初期)には、不足しないように気をつけなければなりません。
葉酸は、「造血ビタミン」ともよばれ、鉄分とともに血液のもととなる成分で、不足すると貧血を引き起こします。また、胎児の正常な成長に深く関わる成分でもあり、妊娠前、妊娠中(特に初期)には、不足しないように気をつけなければなりません。
データ出典:日本食品標準成分表(2015年版)七訂
野菜類以外の葉酸含有量の多い食品をみてみると、100gあたりでは、レバーが突出して含有量が多いことがわかります。実際に摂取する量で比較した場合はどうでしょうか。スピルリナ3g、レバー70g(レバニラ炒め1人前)、納豆50g(1パック)、枝豆50g(塩ゆで1人前)、いちご100g(中7粒)を目安として換算します。
一日摂取目安量でみても、レバーの葉酸含有量は突出しています。このことから、葉酸の摂取にはレバーが適しているといえるのですが、レバーには、ビタミンAの過剰摂取リスクがあるため、十分な注意が必要です。葉酸は緑黄色野菜をはじめ、幅広い食品に含まれていますので、レバニラ炒めにするなど、他の食品と組み合わせることにより、適量の葉酸摂取につなげることができます。また、スピルリナは、レバーに比べると微量の葉酸含有量ですが、摂取することにより、全体の栄養バランスが整い、結果として体内での葉酸の利用効率アップにつながるのではないでしょうか。
1日あたりの葉酸必要量は、成人男女ともに240㎍とされています。加えて妊娠・授乳中は、葉酸の消費量が増えるため、妊娠中は200㎍、授乳中は100㎍の付加が必要です。また、1日の摂取上限は1000㎍とされています。(3)
貧血予防、胎児の成長に大切な葉酸、特に女性は積極的に摂りたい栄養成分ですが、必要以上の摂取は、亜鉛の吸収を阻害することが明らかになっています。亜鉛が不足すると、味覚障害や免疫力の低下などをまねくリスクが高まってしまうため、葉酸の過剰摂取は注意が必要です。
女性の健康にとって重要な働きをもつ葉酸は、毎日意識して摂りたいものです。葉酸は多様な食品に広く含まれているため、様々な食品でバランスのよい食事を心がけましょう。スピルリナは、葉酸のみならず、豊富な栄養成分を含んでいますので、すべての女性の健康づくりに役立つものと考えられます。
(1)DICライフテック株式会社「スピルリナとは」
(2)中村丁次「栄養の基本がわかる図解辞典」2005、成美堂出版