スピルリナに期待される肝臓へのはたらきについてご紹介!当サイト「Spira Style」ではスピルリナを取り入れた生活提案のために、より信ぴょう性のある情報をお届けするべく薬剤師の井手口直子さんに監修いただきました。
井手口直子さん
薬剤師
井手口直子さん
帝京平成大学薬学部教授の薬学博士。薬剤師、カウンセラーのほか、日本スーパーフード協会理事、メディカルスーパーフードマイスター講師として活躍。
ラジオNIKKEI「井手口直子のメディカルCafé」にてパーソナリティを務める。
「沈黙の臓器」と言われる程、不調が分かりにくいのが肝臓です。
肝臓は、体内に入ってきた有害物質(アルコールや薬、老廃物など)の分解・無毒化を行います。また、食事から摂った糖・タンパク質・脂肪を体内で使える形に変化させ、必要に応じて供給するはたらきも。さらに肝臓で作られた老廃物を流す「胆汁」の生成・分泌も24時間休むことなく行う、働き者の臓器なのです。
大事な臓器ですが、暴飲暴食やウイルス感染によって、肝臓が弱ってしまうことも。
肝機能が低下すると、体内での栄養素の供給が滞ってしまいます。また、毒物や老廃物が排泄できず体内に蓄積していき、悪化すると疲労感や倦怠感などの症状も。[注1]
不調が分かりにくいからこそ、肝臓の健康には日ごろから十分に気を配る必要があります。
フィコシアニンとは青色の胆汁色素たんぱく質です。クロロフィルやカロテノイドの色素成分と同じく、光合成にも関わっています。
これまでに明らかになっているフィコシアニンの効果効用はとても幅広く、抗酸化作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、肝障害抑制作用、コレステロール低下作用など多岐にわたります。
肝機能低下が重症化すると、脂肪肝や肝硬変、線維化など組織そのものが変性を起こしてしまいます。
ここまで重症化してしまうと食事に気を付けるだけでは改善できるレベルではありません。そうなる前に、日頃の食生活を見直し、肝臓を労わるようにしたいものです。
フィコシアニンの肝障害抑制作用が検討された研究結果によると、フィコシアニンは肝機能障害段階では改善が期待されることが分かりました。肝臓の組織的な改善となると、期待できるにはまだ至らないと結果が示されています。[注2]
フィコシアニンは、スピルリナ特有の成分といわれており、スピルリナのタンパク質のうち約20%をしめています。「スーパーフード」とよばれる食品はいくつかありますが、スピルリナによく似たクロレラには、フィコシアニンは存在しません。
スピルリナのフィコシアニンを摂取したラットに、肝機能へ有害な成分を与えても、ダメージを抑えることができると実証されています。[注3]
研究ではまだ、ラットへの効果しか明らかにされていません。今後、人での研究が進むことを期待しましょう!
「スピルリナは肝臓毒だ」という話を一部で聞きます。噂の発端は、スピルリナの生息地が「池」であることです。
一般的に、池にはアオコが発生します。そのアオコに含むミクロシスチンという成分が肝毒性をもっています。その影響で、同じく池で育つスピルリナにも、ミクロシスチンが含まれているんじゃないか…と心配する声があがったようです。
国立健康栄養研究所の報告では、スピルリナの安全性は「重金属(水銀・カドミウム、鉛、ヒ素)などの不純物がなく、ミクロシスチンが混じっていないスピルリナの摂取は安全である」と示されています。
ミクロシスチンに肝毒性があるのは事実ですが、きちんとした生産管理を行ったスピルリナには、ミクロシスチンは含まれません。アオコとスピルリナは別物と考えましょう。
ただやはり、生産管理の行き届いたスピルリナであることが大前提です。不確かな情報に左右されず、自分で見定められるようになれると良いですね。[注4][注5]
まとめ
井手口さんからアドバイス
フィコシアニンは肝臓を守る効果をはじめ、様々な効果が期待されています。また、スピルリナの肝毒性についても、きちんとした生産管理の下で生産されたスピルリナ商品であれば安全ということも明らかにされていますので、スピルリナは安心して毎日の食生活に取り入れることができる食品であるといえます。
栄養バランスのよい食事とスピルリナで毎日黙々と働く肝臓を日頃からケアする習慣をつけましょう。
[注1]中村丁次「栄養の基本がわかる図解辞典」(成美堂出版)
[注2],[注3]市村真佑子「高血圧および非アルコール性脂肪性肝炎に対するフィコシアニンの効果の検討