蕁麻疹がでる?

スピルリナの副作用の1つ、蕁麻疹(じんましん)について、スピルリナとの関係性を説明しています。当サイト「Spira Style」ではスピルリナを取り入れた生活提案のため、より信ぴょう性のある情報をお届けするべく薬剤師の井手口直子さんに監修していただいています。

薬剤師:井手口直子

井手口直子さん

薬剤師

薬剤師:井手口直子

井手口直子さん

帝京平成大学薬学部教授の薬学博士。薬剤師、カウンセラーのほか、日本スーパーフード協会理事、メディカルスーパーフードマイスター講師として活躍。
ラジオNIKKEI「井手口直子のメディカルCafé」にてパーソナリティを務める。

蕁麻疹は様々な原因により発症するとされています。なかにはスピルリナ摂取により、蕁麻疹が出たという症例も。スピルリナと蕁麻疹について、アレルギーなどの面から詳しくみていきます。

蕁麻疹の原因

蕁麻疹は、アレルギー性と非アレルギー性に大別されます。アレルギー性の場合は、特定の食品や薬などに含まれるアレルゲン(アレルギーを引き起こす成分)が、体の免疫細胞と結合することで化学物質が放出、この反応として蕁麻疹などのアレルギー症状が現れるのです。

一方、非アレルギー性の場合は、ストレスや疲労で免疫力が低下している時や、物理的な刺激(圧迫、摩擦など)、環境的な刺激(寒さ、暑さ、発汗など)によって引き起こされます。[注1]

スピルリナで蕁麻疹になる原因

健康食品であるスピルリナも、体質や体調により蕁麻疹を引き起こす場合があります。スピルリナによって現れる蕁麻疹は、アレルギー性である場合がほとんどです。

蕁麻疹といっても、軽度のものからアナフィラキシー(強いアレルギー反応によるショック状態)を伴う重度のものまで様々なものがあり、実際にスピルリナの摂取により蕁麻疹などのアレルギー症状が現れたとして、次のような症例が報告されています。[注2]

発症者 症状・診断
フランス・14歳・男児 スピルリナ摂取約6時間後に、蕁麻疹をはじめとしたアレルギー症状を発症。スピルリナの色素タンパク質によるアレルギーであることが判明。
オランダ・17歳・男性
(アレルギー体質)
スピルリナ摂取直後、紅色皮疹(発赤を伴う蕁麻疹などの皮膚症状)を伴うアナフィラキシーを発症。スピルリナが原因と診断。
日本・75歳・女性 スピルリナを約1カ月摂取後、かゆみを伴う蕁麻疹と発熱を発症。薬剤性過敏症症候群(重度の皮膚症状や発熱を伴う薬剤アレルギー)と診断。(3)
日本・75歳・女性
(高血圧、糖尿病治療薬を長年服用)
スピルリナを1カ月摂取後、腹部に強いかゆみと紅色皮疹を発症。スピルリナによる薬剤過敏症症候群と診断。

データ出典:国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報“スピルリナ”

このように、年齢、体質、健康状態などにより、健康に良いはずのスピルリナが、重いアレルギーを引き起こしてしまう場合もあるのです。

スピルリナのタンパク質と蕁麻疹

スピルリナで蕁麻疹などのアレルギー症状が発症してしまうのは、スピルリナの特徴ともいわれる、タンパク質が原因ではないかとされています。スピルリナは、50~70%がタンパク質で、その大半がフィコシアニンという色素タンパク質です。

そのため、他のタンパク性食品(牛乳、卵など)にアレルギーがある人がスピルリナを摂取してしまうと、フィコシアニンなどのタンパク質により、アレルギー症状が発症してしまうものと考えられます。

症状がでた時の対処法

ここまで、スピルリナによる蕁麻疹などのアレルギー症状についてみてきましたが、「スピルリナ=蕁麻疹になる」という誤解はもたないでください。

蕁麻疹などのアレルギー症状は、体質、年齢、健康状態などの要因により、稀に発症する可能性があるということです。

万が一、スピルリナの摂取によって、蕁麻疹などの症状が発症してしまった場合には、一旦摂取を中止し、医師に相談することをおすすめします。また、アレルギー体質などでスピルリナの摂取に不安がある場合には、摂取前にアレルギーの有無を検査しておくことも良いかもしれません。

薬剤師:井手口直子

まとめ

井手口さんからアドバイス

薬剤師:井手口直子

健康に役立つスピルリナですが、残念ながらすべての人に有効であるものではありません。蕁麻疹がでてしまったなど、どうしても体に合わない場合には、決して無理をして摂取することは控えましょう。これは、スピルリナに限ったことではありませんが、人に勧められたからというのではなく、自分の体に合っているかどうかをきちんと見極めた上での利用を心がけ、毎日の健康づくりをしていきましょう。

参照元サイト

[注1]公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」

[注2]国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報“スピルリナ”

[注3]厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル“薬剤性過敏症症候群”」