「スーパーフードの王様」と呼ばれるほど高い栄養分を持つスピルリナ。そんなスピルリナがいま、未来の宇宙食としても注目を集めているということを知っていますか?
ここでは宇宙食としての活躍を期待されているスピルリナの魅力について紹介します。
将来、宇宙ステーションのほか、月や火星での生活を考えるにあたり、宇宙食として宇宙で生産できる食料の提案が募集されました。環境への適応力が強くバランスに優れた栄養価を持つさつまいものほか、宇宙栽培の食品として提案されたのがスピルリナです。
地球とは違う環境の中で生活する宇宙飛行士にかかる負担は大きく、健康を維持するために栄養価の高い食品を摂取する必要があります。加えて、宇宙飛行士が細菌やウイルスなどに感染することを防ぐために衛生的かつ長期保存が可能という条件も重要なポイント。スピルリナは豊富な栄養素を含み、省スペースで生産できることから候補に選ばれました。
国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士に供給される食べ物が「宇宙食」です。宇宙と地球の環境は異なるため、地球で食べている食品がすべて宇宙でも食べられるわけではありません。宇宙ステーションの中は調理設備も限られ、微小重力空間であることから、狭く調理がしにくい空間にも対応できる食品ということが必要条件となります。
さまざまな条件が地球とは異なることから、一般的な地上の食品が宇宙食として認証されるのはとても難しいのです。
スピルリナは世界で最も完璧な食品と言われているほど豊富な栄養を含んだ食材です。
私たちの体をつくるために必要なタンパク質は、なんと大豆や牛肉の2~3倍含有。そのほか糖質、脂肪酸、ビタミン、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ミネラルなど、挙げだすとキリがないほど多くの栄養素をたっぷりと含んでいるのです。私たちの体に必要な5大栄養素のすべてをスピルリナだけで摂取できるため、宇宙食としての需要がとても高まっています。
また最近では、ポリフェノールの一種であるフィコシアニンが含まれていることも話題となり、抗酸化作用や免疫力アップ、抗炎症作用などの効果が期待できると有望視されています。
タンパク質を多く含む食品として、大豆とスピルリナを比較する研究が進められた結果、スピルリナは生産性も資源性も大豆より優れているということが発見されました。タンパク質の生産性は大豆の15倍、栽培に必要とした土地面積は27分の1、使用した水の量はなんと5分の1。宇宙飛行士の作業量や、使用する資源をいかに最小限に抑えるかが重要なポイントになる宇宙空間では、非常に良い結果といえます。
結果、少ないコストで場所を取らずに生産できるスピルリナは、宇宙で生産できるものの中でも優れた食品だと提案されたのです。
現在、スピルリナを宇宙食として提案したグループがスピルリナの大量培養の技術を研究しています。どれだけ小さな面積で水を使わずに大量培養していくかをメインテーマに試行錯誤しているそう。培養装置は開発途中ですが、試作品はすでに完成していると報告されています。
また藻類に分類されるスピルリナは、二酸化炭素を吸収し、酸素を供給して育つ植物です。そのことからスピルリナは、宇宙飛行士が吐き出す二酸化炭素によりエネルギーを増やすことが可能。増えたスピルリナは高い栄養を持つ食料として利用できるので、宇宙で生産するメリットが大きい食材であると期待されているのです。
栄養価や生産性の高さから、将来の宇宙食としても注目されるスピルリナ。宇宙滞在時の栄養源としてだけでなく、日常生活でも栄養が偏りがちな現代人の食生活をサポートしてくれます。豊富な栄養を含み、私たちの健康をサポートしてくれるスピルリナを補助食品として摂ることで、より健康維持に役立てられるでしょう。